布団に入ったのは日付が変わるころだったはずなのに、視界に入る外の空はほんのり色づきはじめているような気がした。


「・・っ、ふぁっ」

(なんで、こんなことになったんだっけ。)
ナミは目の前の彼女の流れるような首筋に吸い付いきながらおもった。

「・・ぁっ、だめっ・・・んっ」

「だめ?」

でも目の前の彼女のこんな声を聞くと、そんなことはどーでもいいことに思えた。
仰向けになっても形が崩れない綺麗な丘に優しく口づけて、右指は彼女の中心にうずめる


「っっ・・・はぁぁっ!」

何度目か、指に感じる窮屈感。ゆっくり彼女の意識を搦め捕るようにもう一度彼女に深く口づけた。
口に出てしまいそうなほど、甘美で切ない想いを乗せて。





花鳥と故巣





「私、やっぱりロビンが好きだわ」

あまり大きくない海賊船の女部屋。1つしかないベットで肩が触れるほど近くに寝ていた航海士は唐突にロビンに言った。

「・・・知ってるわ」

目を閉じながらも、笑ってロビンは言う。

「これだけ抱かれれば、ね」

まだ部屋の温度は高く、鼻につく臭いはなまめかしい。
ナミは横を向き、肘をついて手に頭を乗せる。
特に何をするではないが、視線はロビンからずらさない。

「何で抱かれたの?ロビンなら私を引きはがすのなんか簡単でしょ」

自分から手を出したことは棚に上げてでも、やはり気になってしまうことは聞かずにいられない

「・・・確かめたかったの」

「何を?」

ナミの質問に、まぶたが重いのかやはり目を閉じたままロビンは答える。
同じようにロビンを見続けるナミ。

「だいぶ前から、気付いてたのよ。でも・・・この部屋から出てしまうと、航海士さんは『航海士さん』になってしまうでしょ?」

「気付いてたんだ。でも、私そんなつもりないんだけど・・・」

眉間にシワを寄せるナミにロビンはゆっくり目を開けてナミに顔を向けて柔らかく微笑んだ。
微笑んで、そっと右手でナミの頬に触れた。
なんとなく触れたくなった。
そうしてまた確認したいのだ。


ナミが今、自分の前にいて。今、自分を淫らにさせた本人だと。


「私に気付かせておいて、その私をこの部屋に置いていくんだもの。外ではそんなそぶり全くしないでしょ?」

すーっとロビン目から一筋ながれた。

「そりゃ、ね」

ナミは幸せで、苦しかった。
彼女がそんな風に思っていた事実に、胸が高鳴るも一瞬でしずまっていく。
ロビンの涙ほど、胸が詰まって苦しいものなど他にない気がしてならなかった。



指で拭ったロビンの涙は火傷しそうなほど熱く感じた。







「花は根に鳥は・・・えーっと「故巣に」

「そぅ。それよ、それ。この船の花で鳥の私が、素でいれて帰る場所は、ここよ」


確かにこの小さな海賊船の花であり航海士の彼女は唯一の鳥というに相応しかった。
誇らしげに、当たり前のように彼女は言う。

その彼女の目には、今は自分だけが写っている。
いつもは自分とは縁のない、青い空と太陽を映しているいるその目に。

この部屋の中では私だけを見ていてくれている。




そう思うだけで、下腹部がうずく。



「おねがい。ね?」


ロビンのまぶたは重いがナミに伸ばした手のけだるさは気にならなかった。
くっついたナミの身体も熱いのが気のせいではないことに、ロビンはまた胸が躍る。


またナミ自身も近付いてきた熱く潤んだ上目から目を離さず、ほてっている身体に重なる。
断る理由など、どこにもない。


こんなにも夢見ていたのだから。